さてとのブログ

指差し確認しながら毎日を過ごすアラフォー。2年半の無職を経て、未経験業種に再就職を果たす。ほかほかの新入社員。

【読書録】『ストロベリーナイト』 誉田哲也著

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図書館で借りた『ストロベリーナイト』全く甘酸っぱい内容ではないです!

ストロベリーナイト』 誉田哲也著を読んだ。
一気読み。5時間(読むスピード遅いので)。
読後、あまりにも良すぎて「ドラマ見たい!!」となったけど、アマプラにはなかったので、代わりに映画版の『ストロベリーナイト インビジブルレイン』を見た。

 

この作品は、昔、ドラマも見たし、たぶん小説も読んだことがあったけど、久しぶりに小説を読みたいなと思っていた時に図書館で見つけた。「これだったか!」と思って借りた(辻仁成っぽい)。

 

2006年に書かれた小説で、iPhoneもまだこの世に存在しなかった頃だ(2007年発売)。twitterの誕生は2006年だそう。
日本国内では堀江さんが逮捕され、安倍政権が発足し、荒川静香さんがイナバウワーを決めた、そんな年だったようだ。戻りたいぜ、あの頃に!

 


~~~感想文(ネタバレ含む)~~~

 

本でも動画でもプレゼンでも「つかみ」って大事じゃないですか~?
本なら最初の「はじめに」ってところ、動画ならサムネとかオープニングとか。プレゼンもそうでしょ?やったことほとんどないけど。

この作品も、陰鬱な気持ちにさせる悲惨な生活がはじめに描かれている。痛めつけられる身体と心を「読み手」はきちんと線引きをしながら読み進めていかねばならない。「覚悟はいい?」と最初に聞かれているのだ。気が付けば眉間に皺を寄せながら、不快さを感じつつも読んでしまった作品だった。


「個人情報」「匿名性」「生きている実感」「居場所」そんなキーワードが頭をよぎる中、読んだ。

 

主人公の姫川玲子は17歳の時に自分の身に降りかかった事件をきっかけに警察という組織に属することを決めた。この事件との向き合い方、それを支えた人との交流にとても人間味があり、温かく、「生きる」ということを実感させられ胸を打たれた。

「生きる」「生きている」という感覚を何で感じるのか?

 

非道な殺人事件とそれを追う姫川玲子。
様々な要素を使って対比的に描かれている(例えば、『男』と『女』、『キャリア』と『ノンキャリ』、『恵まれた(と思われる)家庭とそうではない家庭』、『生』と『死』…等)。善と悪、表と裏、全く棲み分けけられるほど、この世はうまくできてはいない。根っこは同じだったりする。そう思えてならなかった。
それは映画版ストロベリーナイトインビジブルレイン』を見た時にも感じたものだ(小説を読んだ後、大急ぎで見返した)。

 

被害者たちの殺害方法は本当にむごたらしく、何度、息を整えながら読んだことか…。

いろんな人物の感情が自分の中に入ってきて、「このまま読み進めても大丈夫かな…?」と思わなくもなかったけど、最後まで読んで「自分との線引き」をきっちり完了させねばと思った。

読んでよかった。決着させられて良かった。

 

姫川玲子シリーズがたくさん出ているみたいなので、少しずつ読んでみようと思う。

 

ーふとした疑問ー

日常でいろんな人の感情が自分の中に入ってきやすい人(HSP・繊細な方)は、こういう小説やなんかで「文章」という形で明確に入ってきてしまうと、どう感じるのだろうか…?と考えてしまった。

このようなショッキングなミステリー・サスペンス小説は別としても、例えば恋愛小説や日常を描いた小説等は、対日常の「練習」になるのだろうか?

それとも心の安寧のために避けたほうが良いものなのか?

 

人によって・タイミングによって答えは違うが答えなんだろうなぁ。